「自己肯定感が持てません」と相談されました
先日、スピカにご相談にいらした男性から、こんな相談を受けました。
自己肯定感が持てないんです・・・
自己肯定感が持てないって、どういうことですか?
彼は、「自分に自信が持てない」「仕事ができずに怒られてばかりいる」「自分にダメ出しばかりしてしまう」「生きていくのがつらい」という意味合いで「自己肯定感がない」という言葉を使われているようでした。
ご相談を受けてのち、わたしは「自己肯定感」という言葉を意識するようになったのですが、どうやら、この「自己肯定感」と言う言葉は、本来の意味から離れて独り歩きしているようなのです。
「自己肯定感」とは何か、提唱者 高垣忠一郎氏の論文と、主に信田さよ子さんの講座(朝日カルチャーセンター新宿教室)で学んだことをベースに、わたしが考えたことを書いていきたいと思います。
「自己肯定感」本来の意味と罠
「自己肯定感」という言葉が使われるようになったのは、1994年。
学校不適応とされた非行、不登校や引きこもりの少年・少女たちと向き合うなかで、教育学者である高垣忠一郎氏によって、小学校教育の指標として「自己肯定感」という概念が提唱されました。
自己肯定感の本来の意味
「自己肯定感」を最初に提唱した高垣忠一郎氏は、以下のように述べています。
自分の存在が周囲に承認されている、自分と共にいることによろこびを感じてもらえているという手応えを通じて得られる「自分が自分であって大丈夫だ」という存在レベルでの自己肯定感をもつことが、まず必要なのだ。
「できる」とか有能だとか、役立つとか立たないとか、そういう機能レベルの肯定ではない。むしろ、そういうレベルで評価されることなしには「存在」が許されないかのような状況への批判を込めている。
また彼は、「私の心理臨床実践と自己肯定感」という最終講義(2009年)のなかで、こう語っています。
社会に有用であることを通じて得られる「自己効力感」や「自己有用感」を得ることは大切だが、それにとらわれないことも大切だ。
周囲の期待する必要に応えることによって、はじめて自分の存在が許されるかのような気持ちにとらわれる人、なにか「役に立つこと」をしていなければ自分の「居場所」がないかのような強迫観念に駆られている人をみれば、そのことが分かるだろう。(中略)
「自分にはこういうダメなところがある」という部分否定ではなく、「ダメな奴」「情けない奴」というふうに、丸ごとの自分を責める自己否定の心がもっとも障害になる。
今日の日本の子供や若者が、自分に対して誇りや自信がもてないという自己評価の低さが問題にされるが、「自分など存在する値打ちもない」「自分などいない方がいい」という自己存在の否定にまで及んでしまうことのほうが、より深刻である。
有能さであること、誰かの役に立ったりしなければ自分の存在価値がないかのように思い込み、存在レベルでの自己否定にまで自分を追い込むような子供や若者の内面のありようや、それを構築している価値観や文化、社会構造を問題にしたかった。
彼は、自己肯定感を自己否定と対にして捉え、有能であったり、「役に立つこと」をしていなければ自分の「居場所」がないかのような強迫観念を植え付けるような価値観や社会構造に警鐘を鳴らしていたのですね。
自己肯定感という言葉の罠
長年カウンセリングに関わっておられる信田さよ子さんは、「自己肯定感」が本来の意味から離れて、違った意味合いで使われていることに危機感を感じておられます。
「自己肯定感」を高めるにはどうしたらいいですか、という相談が増えたんです。
本来、自己肯定感とは存在の肯定であり、他者から無条件に肯定されることで自己肯定感が育まれる。
なのに、
自己効力感:自分ならできると考える
自己信頼感:自分を信じる
自己決定感:自分で物事を決めることができる
自己有用感:自分は何かの役に立っていると感じられる
と捉えて、
- 自信を持つ → 自己肯定感が高まる
- 何かができる → 自己肯定感が高まる
- なにかの役に立つ →自己肯定感が高まる
という方法論に置き換えたり、あるいは、
- 自己肯定感が低い → 自信がない
- 自己肯定感が低い → 何かができない
- 自己肯定感が低い → 役に立たない
と理由付けになったりする。
「自分で自分を評価する」あるいは「他者があなたを評価する言葉」に置き換わり、「自己責任論」のように堂々巡りする。それは罠なのです。
「自己肯定感」本来の意味合いから考えれば、「自分がここにいていいのだ」と無条件に信じるしかないですものね。
占星術で読み解く自己肯定感
石井ゆかりさんが「星ダイアリー2022」に、自己肯定感と獅子座・太陽との関連について書かれていました。
石井ゆかりさんらしい、詩的な、心に響くメッセージだと思い、以下引用します。
自己肯定感と自信は別物
昨今「自己肯定感」という言葉をよく目にします。
広く人口に膾炙した言葉は、次第に別の意味で使われるようになるもので、
この言葉も様々な意味合いで用いられているようです。
もともとの「自己肯定感」は、「自己評価」や「自信」とは無関係だと思います。
自分に自信が持てるとか、自分をほめるということではありません。
「自己肯定感」とは、「何もできなくて何が悪い?」
「ただ息をして生きているだけですが、何か問題でも?」
と言い切れる力のことだと思うのです。
獅子座のタレント、タモリさんが、共演者に対し
「やる気のある者は、去れ」と言ったというエピソードを目にしましたが、
「自己肯定感」の感触が、この言葉によく表れているなと思います。
どんな状態であっても「自分がここに生きていることは何の問題もない、OKだ」と思えることが、「自己肯定感」であるはずです。
石井さんが語る、太陽・獅子座との関連
獅子座の生き方の核にあるものが、まさにこの「自己肯定」です。
「自己肯定感」は基本的に、幼い頃の周囲の受容によって培われるもので、
大人になってから自力で獲得することは難しいと言われます。
ただ、私は「持って生まれたもの」というのも、あるのではないかと思うのです。
獅子座の人々は、辛い思いをしながら育った人であっても、
心の中心に「絶対的にOK」という太陽を輝かせているように見えるのです。
「がんばったからえらい」「これができたから価値がある」。
あらゆる差別も格差も、こうした考えから生じるのです。
獅子座の目は、これが社会のトリックであり、ナンセンスであると見抜きます。
ゆえに獅子座の人々には、それを周囲に伝え続ける使命があるのです。
人生はまるごとでひとつの権利であり、太陽のように肯定されなければならない。
太陽が惑星を照らすように、あなたはそれを周囲に、報せ続けてゆく人です。
(石井ゆかり著 星ダイアリー2022 p214より抜粋、強調筆者)
自分の人生の主役として生きること
占星術では、太陽は意志、自分で切り開いていく運命、主体、人生の目標、父や夫といった男性を表します。
獅子座のルーラー(支配星)は太陽。
太陽系の惑星は太陽を中心に回っているように、まず、
「ダメな自分も含めて、自分が自分であって大丈夫だ」
「どんな状態であっても、生きているだけでOKである」と考えること。
そうすれば、
「自分の意志や感情を大切にする」
「自分の人生は自分で判断する」
「誰か・何かの役に立つことが、自分の喜びになる(何かができる・役に立つから自己肯定できるのではなく)」のではないでしょうか。
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参考文献
「私の心理臨床実践と「自己肯定感」」 高垣忠一郎氏 退職記念最終講義「星ダイアリー2022」 石井ゆかり著 幻冬舎「改訂版 しあわせ占星術」 まついなつき著 KADOKAWA「占星術のシクミが分かる本」 松村潔著 シャングリラ・プレス「石井ゆかりの星占い教室のノート」 石井ゆかり著 実業之日本社